007 空間と一体でデザインしたソファダイニング [創建舎+園田椅子製作所:ソファベンチとカウンターテーブル第2話]


1ミリも空間を無駄にしない。1ミリも寸法を妥協しない。

建築中の現場の一角に、前回話題にした可動式の特製アジャストマシンが設置されています。
ソファベンチとカウンターテーブル。
セオリーと経験則だけで設計したとしても、大きな問題は起こらないかもしれません。
しかし、住まい手にとっての最良を追求するのが股旅ワークショップのテーマ。
建築と暮らす人との接点となる家具を追求することは、空間づくりのすべての追求につながる。
そんな姿勢からベストのものづくりをめざします。

創建舎のスタッフ全員と村澤とで、アジャストマシンを調整しながら
『座の奥行き』、『背の高さ』、『背の角度』、『テーブルの高さ』の最適値を探ります。
今回のワークショップに集まった他の工務店メンバーも座り心地、
立ち座り動作のしやすさを確かめます。一人ひとりの感じ方は個人的・主観的なものですが、
その感想や意見を交わす中から答えを探ります。
テーブルの角を丸くするというアイデアが現場で生まれました。
1ミリも空間を無駄にしない、1ミリも寸法を妥協しない、
そんな熱を帯びたワークショップを体験していると、創建舎の家づくりが見えてきます。
参加している他の工務店も刺激を受けています。これこそが、股旅社中の相互鍛錬です。


ワークショップのパートナー、頼りになるの股旅メーカー。

工務店とデザイナー村澤が協働して行うワークショップで、頼れるパートナーとなるのが股旅メーカーです。
造作ソファのある現場に、全国どこにでも駆けつけてくれるのが園田椅子製作所。
もともとは、デザイナーの村澤と自社ブランドのオリジナルの家具開発を行っていたり、
造作やOEMのソファづくりのスペシャリストメーカーです。
軽快なフットワークで現場にちょくちょく現れ、軽快な口調で礼儀正しく遠慮のない意見を発します。
議論に油を注いだり、村澤をはっとさせたり、スタッフの家具リテラシーを刺激してデザインワークショップを活性化させます。

園田椅子製作所の特徴の一つは、木部の製作、クッション部の製作、縫製、張り込みを全て一貫して社内生産してることです。
それぞれの工程が高いレベルであることと、それらが緊密に連携することでトータルな品質がさらに高まる、そんな体制です。
各地で行われている股旅ワークショップに参加したり社外で打ち合わせを行うのは、基本的には代表の園田の仕事です。
そして、園田のもう一つの仕事は、工場の出荷場を取り仕切っていること。
インプットもアウトプットも現場で仕切るこの責任感が、メンバーの信頼を集めているのだと思います。



創建舎+ デザイナー+ メーカー、三者でお客様宅を訪ねる。

そうして完成したソファベンチ+カウンターテーブルを設置したG邸を、創建舎、村澤、園田と訪ねました。
Gさんに造作家具のことを訊くと、「座り心地、いいです。形状やサイズはベンチですがソファのクッション性があり、
空間との関係もいいのでしょうね。本を読んで過ごしたり、休みの前の日はここで寝転んでいると
そのまま眠ってしまうこともありました」と、とても好評です。
Gさんに創建舎を選んだ理由や、選らんで良かったと思うことを尋ねると、
「大工さんがいて、造りつけの家具をいろいろ作って、細かいことまで相談に乗ってくれそうだと思いました。
作り手の顔が見える工務店がいいな、と考えたのです。
結果、期待通りでした。思ったことをいうと、いろいろ考えて提案してくれました。私たちが自分で考えらるような導きもしてくれました。
このソファベンチとカウンターテーブルがまさにそうだし、創建舎さんの家づくりがよくあらわれています」と。
股旅ワークショップの成果は、お客様にもしっかりと伝わっていました。