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いたるところに「やどり」がやどる
[創建舎]

 

新生・創建舎の「やどる家づくり」

新たに「やどり」と屋号を名乗った創建舎と村澤一晃が定期的に行っているデザイン開発ワークショップに参加。 会員間では公開となってい るこの取り組みに、丸晴工務店、野沢工務店も参加。 住まい手、設計者、大工、デザイナーの想いをこめるやどり 創建舎の家づくりに立ち合いました。


想いをやどす、やどりの家づくり

創建舎は、「やどり」を屋号としました。社名の「舎」は、もともと「やどる」という意味を持つ文字で、住み手と造り手、 家づくりに関わるすべての人の想いがやどる家づくりを目指すことを屋号に込めたということです。
この日、まず見学させてもらったのは、やどり 創建舎の比較的近所の現場。東京23区の土地の平均価格は約200万円/坪、東京都の住宅敷地面積の平均は42坪で全国平均の約半分。 20坪でも4000万円ほどになります。限られた土地面積、建物が密集する立地、こうした条件は股旅社中の中でもやどり 創建舎ならではの課題です。
うかがった現場は仕上げの最終段階でしたが、すでに気持ち良い住み心地が伝わってきます。 狭いからしょうがない、と絶対に思わせない家だと感じました。住み手の想いに応えるために、大工と設計者が技能と考えを寄せ合って形にしているのだと思います。 大工も設計者も同じ社員だからこそのやりとりが、やどり 創建舎ならでは家づくり。住み手の想いと、大工の想いと、設計者の想いがやどる家づくりを実現しているのだと思います。



想いをやどす、やどりのデザイン

やどり 創建舎は股旅社中の発足メンバーであり、発足以前からデザイナーの村澤一晃とデザインワークショップに取り組み、 大工と設計者による家具・建具のオリジナルデザイン開発を継続的に行っています。これまでも何度かワークショップに参加してきましたが、 特徴的だと感じるのは、開発を行っているアイテム数がとても多いこと。大工も設計者もほぼ全員が、何らかの開発に関わっています。 もう一つは、開発を行っている期間がとても長いこと。1年前にほぼ完成といっていたアイテムが、今回まだ試作検証を行っています。 「まだ完成していなかったんだ」と思いつつ、「あ、とても良くなっている」と素直に感心するものに進化していました。
これは、時間がかかりすぎて良くないのではなく、よくぞこれだけの期間取り組み続けてきたと称賛すべきことだと思います。
ワークショップに関わっているスタッフは、通常の業務を行いながら時間をつくり出して製品開発に取り組んでいます。 通常業務といっても注文住宅ですから、ルーティンでこなせる仕事ではありません。それなのに、これだけ開発のモチベーションを保ち続けられるというのは、 開発のその先まで見ているからだと思います。既製品にはない有用なものとして住宅に採用したい想い。村澤一晃とのデザインワークショップも、まぎれもなく「やどり活動」の一つです。


やどりは続く、どこまでも。

この日、もう一つ感心したのは、数年がかりで取り組んできたいくつかの製品開発の最終局面を迎えようとしていながら、すでに新しい開発テーマにも取り組んでいることです。 トイレ備品に関する課題が事前に掲げられていて、この日は各人がアイデア発表し、それに対する自由ディスカッションが行われました。 丸晴工務店の濃沼広晴、野沢工務店の野澤裕もアイデアを発表します。目先の損得でなく、その先にあるこれからの家づくりを見ているから、 会社の垣根を越えてこんなにも真剣に議論できるのかと感じました。
面白いけどどう実用化するの? 大胆すぎて評価できない! といった発想も発表されましたが、すぐに形になりそうもないもののほうが、 新しい何かにたどり着けるのかもしれないと、興味や期待が湧いてきます。 じっくり時間をかけ、一つひとつ検証を重ね、家づくりにやどる有用なものをやどり 創建舎は生み出し続けていきます。