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現場にやどる、デザインのテーマ。
[創建舎・村澤一晃]
創建舎がデザイナー村澤一晃と行っている定例ワークショップを取材してきました。同社が屋号を「やどり」としてから約1年、事務局が訪ねるのも約1年ぶりです。
これだけ時間をおいてワークショップに参加してみると、取り組みの進化がはっきりとうかがえました。
美しい壁と住まい手の生活センス
この日のワークショップの一つ目のテーマは、「階段手摺り」のデザイン開発。それを行うために集まった場所は、東京都杉並区にあるT邸の建築現場。
まずは、引き渡し直前のほぼ完成物件を見学させてもらいました。
創建舎の家を見学して思うことは、白壁がとてもきれいだということです。光の採り入れ方、光の回り方が気持ちよくデザインされています。 敷地の広さや窓から眺望を求めるのが困難な東京23区の立地条件の中で、採光によって住空間自体の眺めを良くする家づくりです。 限られた敷地、隣家が近接する状況でも、気持ちよく、美しく、広がりのある空間。大工仕事がそこここに生かされた創建舎らしい家であり、 こういう家づくりを望む住まい手も、きっと感度の高い生活センスを持った方だと感じました。
創建舎の家を見学して思うことは、白壁がとてもきれいだということです。光の採り入れ方、光の回り方が気持ちよくデザインされています。 敷地の広さや窓から眺望を求めるのが困難な東京23区の立地条件の中で、採光によって住空間自体の眺めを良くする家づくりです。 限られた敷地、隣家が近接する状況でも、気持ちよく、美しく、広がりのある空間。大工仕事がそこここに生かされた創建舎らしい家であり、 こういう家づくりを望む住まい手も、きっと感度の高い生活センスを持った方だと感じました。
実践的と挑戦的の融合
さて、階段手摺りのワークショップは今回が1回目。東京の住まい事情・狭い事情を乗り越えるために、創建舎ではオリジナルの一坪階段をこれまでのワークショップで生み出してきましたが、
この階段のための手摺りの機能性と美観を向上させることが狙いです。
今回は、設計スタッフが事前に共有した宿題にそって、発泡スチロールを削り出した30センチほどの原寸模型を持ち寄りました。 まず考えることを、「握り方」「握り心地」に絞り込みました。断面形状を考える、ということでもあります。
手摺は、多種多様なものがすでに世の中にあり、安全を得るための機能パーツでもありますから、オリジナルデザインを開発するのは容易ならざるテーマです。 「それだったら、すでにこういうものがあるよ」、となってしまうからです。
それでも、創建舎ならではの階段のために、手摺りもオリジナルでつくりたいというチャレンジ精神が、創建舎らしいと思います。 実践的で実用的な目を持ちながら、つねに挑戦的なことにも目を向ける。そんな志向が感じられるワークショップです。
今回持ち寄った「握り方」の案は、それぞれプレゼン&レビューが行われ、アイデアを収束させずに、次回のワークショップでさらに広がり持たせて継続していきます。 創建舎代表の吉田薫は、いつも穏やかな笑顔で人当たりが良さそうな雰囲気の人ですが、内面はかなり熱いものを包み持っているのかも、と思わせるところがあります。 そんな人柄が、ワークショップにもあらわれているのかもしれません。そういえば、辻さんも佐久間さんも、創建舎全員が、穏やかそうでいながら気持ちは熱い、そんな人材が集まったチームです。
今回は、設計スタッフが事前に共有した宿題にそって、発泡スチロールを削り出した30センチほどの原寸模型を持ち寄りました。 まず考えることを、「握り方」「握り心地」に絞り込みました。断面形状を考える、ということでもあります。
手摺は、多種多様なものがすでに世の中にあり、安全を得るための機能パーツでもありますから、オリジナルデザインを開発するのは容易ならざるテーマです。 「それだったら、すでにこういうものがあるよ」、となってしまうからです。
それでも、創建舎ならではの階段のために、手摺りもオリジナルでつくりたいというチャレンジ精神が、創建舎らしいと思います。 実践的で実用的な目を持ちながら、つねに挑戦的なことにも目を向ける。そんな志向が感じられるワークショップです。
今回持ち寄った「握り方」の案は、それぞれプレゼン&レビューが行われ、アイデアを収束させずに、次回のワークショップでさらに広がり持たせて継続していきます。 創建舎代表の吉田薫は、いつも穏やかな笑顔で人当たりが良さそうな雰囲気の人ですが、内面はかなり熱いものを包み持っているのかも、と思わせるところがあります。 そんな人柄が、ワークショップにもあらわれているのかもしれません。そういえば、辻さんも佐久間さんも、創建舎全員が、穏やかそうでいながら気持ちは熱い、そんな人材が集まったチームです。
「伝えるため」のスケッチ
ワークショップのもう一つの課題は、スケッチワークショップ。前回から始めた新しい取り組みのようです。スケッチとは、物の形を平面に描き表すことです。
立体を正確に描き表す三面図は、形や寸法を記して建物を建てたり製品を製作するときに最終的な拠り所となるものですが、専門家でないと立体にイメージすることは困難です。
ですから家でも家具でも、打ち合わせやプレゼンでは立体的に描いたパースやスケッチを用意するのです。
そのような打ち合わせのときに、「その部分の詳細はこのような形になっています」や、「では、その形をこんなふうに変更してはいかがでしょうか」とか、 「裏側をこのようにしたら現場での施工が可能になりませんか」、ということをフリーハンドでさらさらっと描けると、話し合いがスムーズに行えるし、認識の誤差が少なくなります。
スケッチワークショップというミニスクールを開講する村澤曰く、「うまく描くことが目的でなく、伝わりやすいスケッチが描けるようになることが目的です」と。 つまりスケッチは、工務店と建主、設計者と大工や職人やメーカーなどの製作者のやり取り品質を高めるためのコミュニケーションツールであり、ものづくりをする人にとっては重要な武器になる技能です。 その日のお題に対して、参加者は時間をかけずにあらかじめスケッチを描いておきます。それを各人が発表して、村澤と参加者同士で講評し合います。 絵の上手さ、美観で評価するのでなく、「それならこう描いたほうがもっとわかりやすい」と、伝わりやすさを検証するのです。デッサンやパースなど、描写の技法も関係しますが、 そのときその場で伝えたいことをどのように描き表すか、伝えたいことを頭の中でデザインをすることがスケッチなのだと知らされました。
建物や家具のデザイン開発だけでなく、それを生み出すために必要な技能のデザイン開発にも取り組んでいる、創建舎と村澤のワークショップでした。
そのような打ち合わせのときに、「その部分の詳細はこのような形になっています」や、「では、その形をこんなふうに変更してはいかがでしょうか」とか、 「裏側をこのようにしたら現場での施工が可能になりませんか」、ということをフリーハンドでさらさらっと描けると、話し合いがスムーズに行えるし、認識の誤差が少なくなります。
スケッチワークショップというミニスクールを開講する村澤曰く、「うまく描くことが目的でなく、伝わりやすいスケッチが描けるようになることが目的です」と。 つまりスケッチは、工務店と建主、設計者と大工や職人やメーカーなどの製作者のやり取り品質を高めるためのコミュニケーションツールであり、ものづくりをする人にとっては重要な武器になる技能です。 その日のお題に対して、参加者は時間をかけずにあらかじめスケッチを描いておきます。それを各人が発表して、村澤と参加者同士で講評し合います。 絵の上手さ、美観で評価するのでなく、「それならこう描いたほうがもっとわかりやすい」と、伝わりやすさを検証するのです。デッサンやパースなど、描写の技法も関係しますが、 そのときその場で伝えたいことをどのように描き表すか、伝えたいことを頭の中でデザインをすることがスケッチなのだと知らされました。
建物や家具のデザイン開発だけでなく、それを生み出すために必要な技能のデザイン開発にも取り組んでいる、創建舎と村澤のワークショップでした。