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新しい家具、鉄脚テーブルキッチン
[ 杉山製作所・イシハラスタイル ]

 
鉄家具の開発を精力的に行なっている杉山製作所と、道具のような家を探求するイシハラスタイルの共同プロジェクトを紹介します。 その名 を、「アンフォルム」。不定形なオーク天板にシンクとIHを装備して鉄脚で支える、アイランドキッチンでありダイニングテーブルでもある新しい製品です。


メーカー会員とビルダー会員の新しい共同ワークショップ。

股旅社中メンバーのワークショップは、メーカーとデザイン班またはビルダーとデザイン班が家具や建具の開発を行うことが通常ですが、 この取り組みはメーカーとビルダーが手を組んだ、新しい形のプロジェクトです。
鉄家具メーカーの杉山製作所は、鉄フレームのキッチンやダイニングテーブルをすでに製品にラインナップしています。 また、工務店のイシハラスタイルは、オリジナルキッチンとして「タフなキッチン®」を自社物件のほとんどに採用しています。 今回、両者が共同開発したのは、アイランドキッチンとダイングテーブルが一つになった「テーブルキッチン」です。 天板を延長して食事ができるようにしたアイランドキッチンや、アイランドキッチンにダイニングテーブルを近接させたプランはよく見かけますが、 「アンフォルム」は、そうしたキッチンやプランとはまったく別物ということは、実物を目にすればたちまち理解できます。
ベース部分が箱ではなく脚ものの家具のようなキッチンであり、オイル仕上げのオークの天板は独特な形状をしています。しかし、それよりも特徴的なのは、高さが700mmということ。 ダイニングテーブルの高さでキッチンをつくったことが最大のポイントです。通常のキッチンは高さ850mmですから、その違いは一目瞭然。 この違いによって、「アンフォルム」は、天板を伸ばしたアイランドキッチンとは明らかに異なるし、キッチンが設備ではなく家具になったことが直感できるのです。


間取りが、建築が、暮らしが、新しくなる。

高さが700mmと聞いて気になるのは作業性ですが、シンクの高さは従来のキッチンの高さに近づけています。 シンクの縁は高さ800mmなので、この高さにまな板を置けば食材を切ることに問題はないし、洗い物のしやすさも通常のキッチンと比べて遜色はありません。 コンロは低くなっても作業性は損なわれず、むしろ鍋の中が見やすく調理しやすいと感じる人も多くいると思います。
こうした機能性を確保しながら「アンフォルム」が目指した価値は、料理する・食べる・片づける・くつろぐ場を一つにして、 家族がつながり嬉しい時間を一緒に過ごせる新しい暮らしを生み出すことです。それは、キッチンを設備ではなくテーブルという集うための家具にすることで実現する価値だと思います。
キッチンとダイニングが一つになることで、間取りのあり方が変わり、建築のあり方も変わります。従来のLDKに要した広さを抑えることもできるし、 従来のLDKに比べ空間にゆとりを持たせインテリアを変えることもできます。従来のLDK発想とはまったくちがう家づくりができる、「アンフォルム」はそんな価値を持った新しい家具です。


すでに実物件で「アンフォルム」採用決定。

「アンフォルム」は、今年3 月に「建築・建材展2022」で杉山製作所がプロトタイプを発表して、秋の正式発売に向けて細部のブラッシュアップが進められています。 鉄脚のテーブルキッチンに合わせて、新しい家具の開発や、アイテムのコーディネートプランも行われてます。
イシハラスタイルでは、今年完成予定の実物件に「アンフォルム」の採用が決まっています。
高さが700mm、箱ではない木天板の脚ものキッチンと聞いて、否定はしなくても突飛と思う人もいるかもしれません。 しかし、実物を見れば、このテーブルキッチンによって、間取り、建築、暮らしが新しくなるという期待は現実的なことだと実感できると思います。
秋の正式発売が待てないという股旅社中会員の方は、杉山製作所・イシハラスタイルにどうぞお問合せください。