044
野沢工務店「ノザワタウンの家」見学会。
[ 股旅社中 会員イベント ]

 
コロナ感染の状況を伺いながらしばらく実施を控えていましたが、股旅社中のツアーイベントが久しぶりに開催されました。 会場は、静岡市の野沢工務店。集まったのは7社の会員。今回は、見学会の様子をご紹介します。


現地で触れ、対面で話す、リアルの感覚。

野沢工務店は、600棟以上の実績を重ねている静岡市の地域工務店です。市内全域に多くの家を建て、リフォームにも積極的に取り組んでいます。 そして、社屋のある町内にはとりわけ多くの野沢工務店の家が建ち並び、その一角は「ノザワタウン」と呼ばれているとか。 今回の見学会は、まずはこのノザワタウンにできたばかりのモデルハウス2棟を見学させてもらいました。
いずれも、現在野沢工務店が取り組んでいる住宅の標準化を進化させるための物件。1件は比較的ゆったりとした住宅プランであり、もう1件は静岡市内の住宅事情を鑑みた狭小タイプのモデルです。 野沢工務店が目指す標準化は、決して平均的、普通のレベルということではありません。 スケルトンの性能・品質の向上を図りながら、インフィルにおいては性能と快適さと暮らす喜びが一体となった独自のプランとデザインを定番化することを目指しています。

会員同士の相互鍛錬を主旨とする股旅社中のメンバーたちは、モデルハウスに入ると、各々の目線と感覚で見学を始めます。 特徴的な小下がりのリビングに座って、まったりとしているようでいながら、空間の意味、意義、価値を体感しようとする参加者もいれば、 細部をメジャーで測ったりおさまりに目を凝らしたり、さすがプロたちの見学は見方、感じ方にもプロらしさがあらわれます。
現場で実際の空間に触れ、家づくりについて顔を突き合わせて会話を交わし、リアルのイベントにはリアルならではの価値があると改めて感じました。


家づくりの世界観、本質を体感する。

モデルハウス見学の後は、野沢工務店の広報担当、野澤裕の自宅を訪ねました。市街地から離れた山間部に数年前に建てたこの家と、 山の暮らしを体験してもらおうということで、奥様と二人のお子さんにも迎えていただき、手料理をごちそうになりながら山の家の時間を過ごさせてもらいました。
野澤の自宅は、さきほど見学してきたモデルハウスとはまったく違います。入口からダイニング、キッチン、テラスは靴を履いたまま。 なるべくガスを使わないということで、風呂は薪、キッチンには料理用の薪オーブン。内外装ともに仕上げのための仕上げ材は用いずに、 家を構成するために必要な部材だけで仕上げられている印象。一般的なLDKや個室の発想はまったく感じられません。驚いたり、嬉しくなったり、ほんわかとした気持ちになったり。
これから家を建てようと考えている人がこの家を見学したら、きっと目からウロコがはらはらと落ちるのではないかと思いました。まったく同じような家を建てたいか、 市街地から離れた山間に住みたいかは人それぞれですが、「家ってこういうことか」「自分たちの暮らしのための家づくりってこういうことか」と、家づくりの世界観や本質の捉え方がきっと変わります。
野沢工務店のモデルハウスとは異なると書きましたが、それは形態のことであり、考え方は底で通じているのだと思います。 野沢工務店の最前線のモデルハウスと、もっともプリミティブな特別モデル、大いに盛り上がった見学会でした。