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大瀧建築「大工の家」見学会。
[ 股旅社中 会員イベント ]

 
静岡市の野沢工務店で開催した見学会の翌日、浜松市の大瀧建築でも見学会を行いました。 前日に参加したメンバーに5名が加わり、8社14名で実施。家族経営の大瀧工務店に、一家総出で迎えてもらいました。


大工の技、だけじゃない大工の家に興味津々。

大瀧建築は、浜松で代々営まれてきた家族経営の大工工務店。代表の大瀧健太は4代目で、先代代表は大瀧の父親で今も現役の棟梁。 義兄と弟と共に総勢4人の大工で家を建てます。数年前から大瀧の妻も広報担当として仕事に携わり、ホームページやSNSの運営をしながら、 今では木材の塗装や旋盤加工なども手伝い頼もしいおかみさんとして活躍しています。

参加者が集まったのは、大瀧の自宅でありモデルハウスでもある「大工の家」。なんといっても特徴的なのは、母家の脇に建てられた草屋根棟。 まず参加者たちは、軒を貫いて設置された鉄のはしごを昇って草屋根へ。屋上ともルーフガーデンとも違う草屋根の気持ち良さを五感で体験しました。

その後、母家である「大工の家」に上がらせてもらい、概要を説明してもらったあと自由に見学させてもらいました。
この家は、大瀧が代表に就いて初めて建てる家でもあり、また、股旅デザイン班の中村圭吾とデザインワークショップを開始して、 そこで生み出したオリジナルの家具や新しい造作を多く盛り込んでいます。構造材を大工が刻んで建てるまさに大工の家ですが、 昔っぽさを感じるようなところは一切なく、今の暮らしや時代感覚と大工の技を融合させたデザイン空間が体感できます。
参加者たちは、寸法を測ったりカメラをつくりの細部に近づけて写真を撮ったり、じっと佇んでいるのは暮らす人の身になって想像を働かせているのでしょうか。 例によって見学の仕方がプロです。


方法は違っても、木の家、幸せに暮らす家。

続いて見学に訪れたのは、「大工の家」から歩いて数分の建築中の現場。まだ構造が露わな平家。お客さまの希望で、和風建築の要素をふんだんに取り入れた家です。 材料を仕入れるために京都まで出掛けて選んできたという丸柱が目に止まります。土台の石は自然石で、石面の形に合わせて柱の断面を削って接合部を合わせるそうです。
軒を見上げると、垂木も丸太がずらりと並んでいます。左官で仕上げる外壁の下地には、杉板がきれいに張られています。 完成すれば見えなくなりますが、左官の仕上がりのためには手が抜けない大事な仕事です。屋根には瓦と銅板が使われています。

棟梁曰く、以前はよくあったつくりだけど、ここまでは最近はやらないねと、どこか嬉しそうな表情。口数の少ない棟梁だと思っていましたが、 この日は見学者に質問されると、淀みなくすらすらと答えています。家づくりに携わる同士、つくりや材料の話になれば言葉と思いが自然と交わされます。
大工と設計者の違いがあっても、大ベテランと若手であっても、使う材料や工法や意匠がちがっても、今日集まっている人は皆、木の家づくりを考え続け、 住む人が幸せに暮らすことを思い続けている人たちなんだと改めて感じました。

見学会の最後には、参加者一人ひとりにコメントしてもらいました。勉強になった、刺激を受けたという感想があり、感心したポイントを具体的に挙げ、 そして、こういうところはいかがなものかといった意見まで発せられます。異論、批判も言ってほしいというのは大瀧の希望でもありましたが、 おざなりにコメントしないところが股旅社中メンバー。お互いが仲間でありライバルでもあるのだと、取材をしていて改めて感心しました。