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第6回股旅社中デザイン競技会
[ 股旅社中デザイン班主催 ]

 
住宅設計を一層豊かなものにするために、独自の家具、道具のデザイン開発の技能を競い合うデザインコンペティションが、股旅社中デザイン競技会です。今年は6回目の開催となり、会員12社が参加。


デザインのテーマは、「食にまつわる家具道具」です。
一次審査は会員による投票。そして、一次審査の上位作品を対象として二次審査は審査員による公開協議。審査員の股旅社中代表世話役・八幡秀樹、股旅社中デザイン班・村澤一晃と中村圭吾、そしてゲストでお招きした編集者・内田みえさんの協議により、「股旅社中グランプリ」、「ベストデザイン賞」、「ベストパフォーマンス賞」が選出されました。

股旅社中グランプリ
野沢工務店「mono table」

発展性、期待度を含め、総合的に最も優れた作品として股旅社中グランプリに選ばれたのは、野沢工務店の「mono table」。吊り具を使って吊り下げるテーブル。一次審査でもだんとつの支持を集めました。

審査コメント
今回の提案で、野沢工務店はチームで問題を解決する力を得たと思います。個人の得意不得意が、ジグソーパズルのピースのように噛み合い完成したいいデザインです。試作を繰り返して検証をしていたので、大きな課題の解決もできており、説得力を増しました。もう一度このデザインを詳細まで検証してみましょう。今回使用した素材と形状のバランスはどうか? 素材が合わさる部分のディテールや仕様はこのままで良いか? サイズに関しては目的に合わせて調整が必要か? などです。この機構は今後の発展が期待できるので、ここからがスタートです。


ベストデザイン賞
さほらぼ by 佐保建設「岡もち」

意匠性と完成度において最も優れている作品としてベストデザイン賞に選ばれたのは、さほらぼの「岡もち」。縁側で焼きたてのパンを休日の朝ごはんとして楽しむための道具。二次審査では最終的に杉山製作所の作品と競う形となり、熱い協議の末に受賞が決定しました。。

審査コメント
細かな検証がなされている上、パーツ一つひとつのデザインにも熱意を感じる提案となっていました。
プレゼンテーションの組み立てがとても良く、シンプルなデザインでありながら写真などを通して感じる使い心地の気持ちよさが伝わる表現だったので、多くの人に共感を得たと思います。
カトラリー入れの完成までもう一歩、粘り強くデザインを進めてください。もう少し調整ができる点としては、持ち手のディテールや本体底面の工夫などが考えられます。ここで完成ではなく、さらに良いものへ発展させてゆきましょう。


ベストパフォーマンス賞
三友工務店「おぼんワゴン」

実効性と実益期待度において最も優れた作品としてベストパフォーマンス賞に選ばれたのは、三友工務店の「おぼんワゴン」。リモートでのプレゼンテーションでしたが、緻密で丁寧なデザインワークが高く評価されました。

審査コメント
機能を徹底的に検証して、細かな部分まで丁寧にデザインしている良い取り組みになったと思います。
側板に開けてあるコード穴も、機能と意匠が両立しているところが素晴らしいです。単純な形状ながら、使い手の目線に寄り添って生活のさまざまな変化にも対応できるようにしたことも共感を得た点ですね。今後、三友工務店の家の定番として育てるために全体のディテールをチェックしてゆきましょう。日常的に動かす道具ですから、もう少しエッジを抑えるなど、傷がついても味が出てくるデザインへの発展が期待できます。これを機会にして、家具道具のクオリティの高い家つくりへさらに踏み込んでください。