003 使い続けてもっと良くなる[イシハラスタイル+境木工:タフなキッチン 第1話]

 

せっかく自由に作れるなら、要らないものは要らない

イシハラスタイルの家づくりでは、オリジナルのキッチンを造作でつくります。
しかし、この長田邸では、プランを進める中で従来のキッチンはいまひとつ似合わないということで、
新しいオリジナルキッチンを考えることにしました。
このことに、食に関わる仕事をされていて料理が好きという奥様は大変喜びました。
将来はお子さんと料理を楽しんだり学んだりできる場にしたい。
オープンキッチンだから、ご主人が好きなビンテージ家具とも相性がいいものにしたい。
ご要望を聞きながら、イシハラスタイルが立てたコンセプトは「タフなキッチン」。
プロの厨房に通じる考え方と、木の家のダイニングやリビング空間とのつながりの中で相性良く収まるものを、
デザイナーの村澤一晃と一からデザインしました。
フレームは素地の質感が感じられる鉄製で、
これにブラックチェリーの無垢材で製作した引出し付きのワークトップを組み合わせたキッチンです。

石原「住まい手の長田さんご夫婦は感性豊かなお二人で、ものごとを選択したり決定するときの的確さ、鋭さをお持ちでした。
キッチンまわりの空間プランの打ち合わせを重ねるなかでもそうした感性を発揮されて、
機能のあり方をご自分なりに考えて、収納部分を閉じて処理することに違和感を持たれたり、
調理道具を大切にしていることや毎日気に入った食器で食事をされることをプランにどうのように反映させるかを話し合いました。
こうした内容を整理整頓することが、新しいオリジナルキッチンの開発にとりかかるきっかけになったのです。
家づくりにとりかかるまでは、建築やインテリアにとくに興味を持っていたこともないようですが、
求めるものごとのあり方をきちんと見つめることができる鋭いお二人でした」

村澤「システムキッチンは好みじゃないと言っていました。取って付けたようなキッチンは嫌なんでしょうね。
僕は自宅のキッチンに吊り戸棚は必要ないと考えて取り付けませんでした。
普段使わないものを入れておく棚って要るものなのかと思うのですが、
長田さんも同じ考えだったようで吊棚は要らないということでした。
『せっかく自由に作れるんだから、要らないものは要らない』っておっしゃったことを覚えています」


使い続けて良くなる道具のようなキッチン

石原「イシハラスタイルの『道具のような家』の考え方そのままでつくるキッチンが、長田さんに合っていると思いました。
『タフ』っていうのは、ただ丈夫という意味ではありません。使い続けて良くなる。使うほど好きになる。
そういうキッチンであるために、機能が絞り込まれていて、使う人や使うキッチン用品が馴染んでいける余地もある。
詳細までキメキメじゃない。それがタフなキッチンを道具のようだという理由です」

柿内「境木工は木のワークトップを製作しました。樹種はブラックチェリーの幅はぎ材、引出し付きです。
様々な樹種のストックがあることと、箱もの家具の技術がこのキッチンに生かされました。
水まわりに無垢材、しかもオイル仕上げというのはなかなか実現しないものですが、このチームの連携と、
このチームとお客様とのつながりだからこその仕様が実現しました」

村澤「三方留めで、見た目だけでなく、木口からの水の吸水をできるだけ防ぐつくりにしてもらいました。
柿内さんの言う通り、プロダクトならオイル仕上げは無理でしょうね。
話し合って確認し合って決めて、住み始めてからも付き合いが続けられる関係があってこそですね。
まさに工務店でしかできないキッチンだし、股旅社中ならではの連携から実現したキッチンです」

このキッチンの使い手となる長田さんに、引き渡し直前の現場でお話しを伺いました。
長田さん大満足の様子を第2話でご紹介します。